研究概要 |
私たちは自己免疫(I型)糖尿病のモデル動物であるnon-obese diabetic(NOD)マウスから摘出した膵臓より凍結切片を作製し、terminal deoxynucleotidyl transferase-mediated dUTP nick end labelling(TUNEL)法を用いて、糖尿病未発症マウスの膵β細胞にアポトーシスが生じていることを報告した(内科学進歩のトピックス、1998)。 平成10年度はアポトーシスの発症機序を解析するためマイクロマニピュレーターを用いたmicrodissection法を採用して、膵組織切片より目的とする膵β細胞または膵島浸潤リンパ球の単個細胞を切断、収集しmRNAを抽出した。得られた膵島浸潤リンパ球および膵島のmRNAを用いて、RT-PCR法にてIL-4、IFN-γ、FasL、Perforin、Granzyme、Fas、TNF-receptor family、iNOSおよびBcl-2 family等のアポトーシス関連因子のmRNAレベルでの発現を定量的に測定した。現在結果をまとめて投稿準備中である。 さらに血清中の可溶性FasおよびFasLに関してはヒトNK白血病患者血清中の可溶性FasおよびFasL測定した系(British J Haematology,1998)を用いてNODマウスについても検討中である。 平成11年度は、アポトーシスより免れた膵β細胞の解析を行うため80%のNODマウスが糖尿病を発症している40週齢以上のマウスを用いて糖尿病発症マウスと非発症マウスにおける膵島浸潤リンパ球のポピュレーションやCD40、CD40L、CD28、CD86陽性細胞の比を検討したが、著明な隔たりは認めなかった(第42回糖尿病学会報告)。 またBリンパ球の役割を解析するために、STZ誘発自己免疫糖尿病Bリンパ球欠損マウスおよびBリンパ球欠損NODマウスを用いてTCR repertoireのSSCP解析とcytokine発現解析を行った(第28回、第29回日本免疫学会報告、第42回糖尿病学会報告、International Immunology 印刷中)。
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