研究課題
これまでに、SLE患者より得たモノクロナルルブスアンチコアグラント(LAC)および不育症患者のLAC-IgGにはヒト臍帯静脈内皮細胞にアポトーシスを誘導する活性があり、これらの自己抗体免疫グロブリンには血管内皮細胞や絨毛上皮細胞において特に高発現しているアネキシンVへの結合活性があること、また、この活性は抗リン脂質の抗原と想定されているβ2グリコプロテインエとは無関係であることなどを明らかにしてきた。これらの免疫グロブリンの持つアポトーシス誘導活性はアネキシンVと予めインキュベートすることで抑制されるのであるが、この抑制効果がアネキシンVに特異的であるかどうかを検証するため、他のアネキシン群蛋白であるアネキシンVIやアネキシンIIのリコンビナント蛋白をGST融合タンパクとして発現させ精製するところまで準備を進めた。一方、ATP産生阻害剤であるアジ化ナトリウムによってアポトーシスに特有のラダー様のDNA切断が起こることを見出した。これはアポトーシス、特にカスパーゼ活性化にはATPが必要であるという一般的な認識とは相反する結果である。そこで、被検細胞をより鮮明に効果が観察できる白血病細胞HL60に置き換えて、オリゴマイシンなどによるATP枯渇実験を行い、このDNA切断活性が確かにカスパーゼ非依存性であることを確認した。カスパーゼ下でDNA切断の最終実行に関わるCAD・ICAD系との関係について、現在研究を進めている。
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