マウスにConcanavalin A(ConA)を静脈投与することにより、Tリンパ球活性化を介した肝炎モデルが作製される。今年度は本モデルとヒトの自己免疫性肝炎との近似性を明らかにするとともに、免疫学的肝細胞障害発症機序をサイトカイン産生能の面から検討した。ConA誘発肝炎は雌マウスにおいて雄マウスに比べより重症の肝細胞障害が出現し、発症機序としてConAによるIFN-γ、TNF-α、MIP-2などの炎症性サイトカイン産生能の性差が関与する結果がえられ、本モデルが自己免疫性肝炎の有用なモデルであると結論された。また、炎症性サイトカイン産生能の性差に関してはエストロゲンはサイトカイン産生を亢進させ、逆にテストステロンは抑制する結果がえられた。一方、引きつずき臨症例において自己免疫性肝炎や自己免疫性肝炎類似C型肝炎に対するウルソデオキシコール酸(UDCA)の効果を明らかにし、また長期的な予後についても検討した。さらに、ConA誘発肝炎に対してもUDCAの肝機能改善効果を認めたので、現在その作用機序を炎症性サイトカイン産生能のの面から検討している。
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