研究概要 |
研究目的:表面型大腸腫瘍(腺腫・癌)の特徴である高い組織浸潤・脈管侵襲能を規定する分子生物学的特徴を明らかにし,内視鏡治療の適応決定に応用することを目的とする。本研究ではmatrix metalloproteinase(MMPs),とそのinhibitorであるtissue inhibitors of metalloproteinase(TIMP),および細胞接着分子であるsyndecan-1,cadherinついて着目し,これらの発現と腫瘍の組織型および悪性度,またその組織浸潤の程度,脈管侵襲の有無について検討を行う。 平成10年度の研究実績 平成10年度は,表面型早期大腸癌の臨床材料を用い,免疫染色によって, (1) 表面型早期大腸癌組織において,正常組織ではabundantに発現しているsyndecan-1の発現が低下している組織が存在すること (2) 同様に表面型早期大腸癌組織において,sm浸潤の先進部においてsyndecan-1の発現が低下している腫瘍細胞がみられること (3) 上記組織のリンパ節転移巣において,腫瘍細胞のsyndecan-1の発現が低下していること (4) 表面型早期大腸癌組織において,MMPsの発現が増加していることを見出した。 このyndecan-1の発現低下の調節機序について,現在大腸癌腫瘍細胞株を用いて分子生物学的検討を行っている。 これらの研究結果は,1999年American Gastrointestinal Association Annual Meetingにて報告する予定である。
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