研究概要 |
Helicobacter pylori(Hp)による胃粘膜萎縮のメカニズムに関する検討目的: Hpは高いウレアーゼ活性を有し、高濃度のアンモニアを産生ずるが、アンモニアの胃粘膜傷害はpHの高い環境下で増強される。本研究では、アンモニアの胃体部粘膜に及ぼす影響について異なる胃内pH環境下で検討した。 方法: 1.胃粘膜実験系:(A)モルモットintact shect胃底腺粘膜:固有筋層より剥離したnativeな胃底腺粘膜を用いた。(B)モルモット遊離胃腺:モルモット胃粘膜をco11agenase処理して得られた遊離胃腺細胞を用いた。2.実験プロトコール:(A)上記の胃粘膜をUssing chamberにmountし、粘膜側pH5.0と8.0の条件下で粘膜側にNH4Clを投与し、電気生理学的、形態学的に検討した。(B)モルモット遊離胃腺細胞をNH4Cl存在下、pH5.0〜8.0にて培養した後、propidium iodide,ancxin Vによる二重染色を行い、flow cytometryにてapoptosisの出現率を評価した。 成績: (A)モルモットintact sheet胃底腺粘膜において、粘膜側pH5,0よりもpH8.0において、NH4Cl投与後のPD,Rの低下、及び胃底線細胞における空胞化が著明に認められた。(B)モルモット遊離胃腺細胞において、培養液のpHが高くなるほど、apoptosisの出現率が増大した。 詰盈: アンモニアは、胃内pHの高い環境下において、胃粘膜防御能を低下させ、胃底腺細胞のapoptosisを促進した。以上より、Hp感染者に対する長期間の酸分泌抑制治療は胃粘膜萎縮を進展させる可能性が示唆された。
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