研究概要 |
1.In vitroにおける検討-アンモニア、及びフリーラジカルによる胃粘膜傷害機序の検討- 目的:Hpは高濃度のアンモニアを産生すると共に、粘膜内白血球浸潤を誘導し、大量のフリーラジカルを産生する。我々は、酸分泌抑制下において、これらの物質が胃粘膜細胞に及ぼす影響について検討した。 方法:胃粘膜実験系:(A)マウス由来胃粘膜上皮細胞に対して、アンモニアと次亜塩素酸(フリーラジカル産生物質)を投与し、胃粘膜上皮細胞のapoptosisについて検討した。 成績:胃内pHの高い環境下で、アンモニア、次亜塩素酸によるapoptosisが増大した。 結論:Hp感染胃粘膜において、アンモニアは、特に胃酸分泌抑制時に、白血球由来のフリーラジカルと反応して、胃粘膜萎縮を進展させる可能性が示唆された。 2.In vivoにおける検討-酸分泌抑制剤の長期投与がHp感染胃粘膜の萎縮進展に及ぼす影響- 目的:In vitroの実験成績より得られた結論についてin vivoの実験系を用いて検討した。 方法:マウスHpを感染させた後、酸分泌抑制剤(H2-blocer,PPI)を一年間連日投与し、萎縮の進展について薬剤非投与群と比較した。 成績:Hpによる胃粘膜萎縮の進展は、酸分泌抑制剤投与群において著名であった。 結論:酸分泌抑制剤の長期投与はHp感染胃粘膜の萎縮進展を加速すると考えられた。
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