研究概要 |
11年度は、10年度に引き続いて、インターフェロン誘導蛋白のひとつである二本鎖RNA依存プロテインキナーゼ(PKR)の肝組織中の発現量を、より多くの慢性肝炎患者において検討した。治療上の必要から施行された肝生検により、本人の同意の元に得られた肝組織の一部からRNAを抽出し、PKR mRNA特異的プライマー及びTaqManプローブを用いてreverse transcriptionとpolymerase chain reactionを施行し、ABIPRISM 7700シーケンスデイテクタにより、反応をリアルタイムに検出し、PKR mRNA量を定量した。検討した慢性C型肝炎24例(F1,7例; F2,14例; F3,10例; F4,3例)、慢性B型肝炎10例(F1,2例; F2,4例; F3,4例)の肝組織の、それぞれ8例(F1,1列; F2,3例; F3,2例; F4,2例)と3例(F1,1例; F2,1例; F3,1例)でPKR mRNAが検出された。PKR mRNAと同様の方法で推定されたGAPDHmRNA量を内部標準とし、それとの比を計算することにより、PKR mRNAの発現量を補正し、症例間で比較したところ、原因疾患や疾患の進展度(gradeおよびstage)との関係はみられなかった。培養肝癌細胞株(SK-Hep-1)をインターフェロンで刺激することにより、PKR mRNA量が著明に増大することを確認した。インターフェロンの濃度とPKR mRNA量の関係について検討中である。
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