インフォームドコンセントを得たのち、数個のヒト十二指腸粘膜を同一個体から採取し、速やかにユッシングチャンバーに装着することにより、ヒト小腸上皮粘膜におけるNa+依存性グルコース輸送をグルコース粘膜側投与により生じる微弱なNa+電流の増加として測定できた.検体の採取には大型生検鉗子を用い十分な大きさの検体を得た.また検体が微小なため直径1mmの円形開口部をもつホルダーに装着し、これをユッシングチャンバーに装着した.粘膜面積が小さくこのため生じる粘膜抵抗の増大に対し、抵抗補正回路にアンプを挿入することで実験方法を確立した.まずラット小腸粘膜を用い、グルコース吸収を抑制すると考えられる物質(アカルボース、ボグリボース、カテキン、クルクミン)がグルコース吸収に伴うNa+電流を容量依存的に抑制することを確認した.さらに、グルコース(単糖類)およびマルトース(二糖類)を粘膜側へ投与し両者の電流増加量の比較からアカルボース、ボグリボースは刷子縁膜上の二糖類分解酵素を抑制よること、カテキン、クルクミンはSGLT-1を抑制することが示された.平成11年度は同方法によりヒト小腸粘膜を用いた検討を予定している.
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