研究概要 |
肝細胞癌における特異的免疫療法の開発のために、種々の退縮抗原遺伝子とその蛋白発現、ならびに抗原提示分子について検討を行った。 1)肝細胞癌では、MAGE,BAGE,GAGE等のmRNAが高率に発現するとともに、MAGE-1,-3はWestern blot、Immunohistochemical analysisにおいて、その蛋白も発現していることを明らかにした。また、最も免疫性が高いと思われるNY-ESO-1のmRNAの発現も検討した結果、肝細胞癌で約25%に発現することが明らかになった。これらの結果は、腫瘍退縮抗原のペプチドを用いたワクチン療法が肝細胞癌においても可能であることを示唆している。 2)一方、癌細胞は免疫的にエスケープ状態である可能性があり、Antigen-processing,Antige-presenting moleculesについても検討した。肝細胞癌では、Hsp,TAP-1,-2,β2Microglobulin,MHC class-1は比較的良好に保持されているものの、B7-1,B7-2の欠失が高頻度に観察され、遺伝子導入やサイトカインの使用によるup-regulationの必要性が示唆された。 3)肝細胞癌症例のPBMCを用いて、MAGE-3,NY-ESO-1ペプチド刺激によるγ-IFNの産生をELISPOT法で検討した。コントロールのインフルエンザヴィールスペプチドではその産生が認められるものの、腫瘍退縮抗原ペプチド刺激によるγ-IFNの産生の産生は現在までのところ確認されていない。
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