本研究は、肝炎ウイルス持続感染患者においてリンパ球、樹状細胞にB型肝炎ウイルス(HBV)が感染しているか否か、及びその感染比率をin situ PCR法で検出し臨床像との関係を明らかにすることを目的とした。平成10年度はIn situ PCR法の手技のための基礎実験を行った。陽性コントロールとしてHBV産生トランスジェニックマウス、又陰性コントロールとしてBalb-Cマウスの脾臓より分離したリンパ球を用いてIn situ PCR法でHBV-DNAの検出を試みた。種々の条件設定のための検討の結果、以下の方法が正確に陽性率を検討する上で最適であった。Lymphoright Mを用いた比重遠沈法にて分離したリンパ球を3000rpm 8分のサイトスピンでスライドグラスに張り付け、パラホルムアルデヒドで4℃ 20分固定、オートクレーブ処理120℃ 2分行った後、パーキンエルマ社のGene Amp In situ PCR Systemを用いて94℃2分、50℃1分30秒、72℃2分30秒-25サイクルのPCRを行った。PCRプライマーはHBVのX領域とC領域に設定した。その後ジゴキシゲニン標識したプローベを用いてハイブリダイゼイション行った後ペルオキシダーゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を使用し発色を行った。上記方法によりHBV産生トランスジェニックマウスはほぼ全てのリンパ球が陽性で、通常のBalb-Cマウスでは全て陰性であった。平成11年度は上記方法により人慢性肝炎忠者より分離培養を行ったリンパ球、樹状細胞を用いIn situ PCR法を使ったB型肝炎ウイルスの検出を試み、臨床像との関係を明らかにする予定である。
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