研究概要 |
スーパーフィブロネクチンはフィブロネクチンが高度に重合したのので、具体的にはフィブロネクチンのC末部分のTypeIIIリピートの一部をリコンビナントに作製したもの(III1-C)を仲介としてフィブロネクチンをin vitroにS-S結合により高度重合させた人工細胞外マトリックスである。我々はRT-PCR法によりIII1-CcDNAをクローニングし、His-Tag・Ni-NTA法によりIII1-Cを調整した。また、コントロールとして同様にIII11を調整した。また、フィブロネクチンを日赤より提供されたクリオ分離後血清をもとにイオン交換カラムを用いて精製を試みたが、完全な精製は困難であった。また、半精製フィブロネクチンと調整したIII1-Cを用いてスーパーフィブロネクチンの既報による作製は困難であり、現在検討中である。本研究のもう一つの目的である伊東細胞を用いた肝線維化のメカニズムはRho、細胞内骨格、インテグリン、FAK等に注目して解析を行い、これらの抑制が肝線維化抑制につながることを見出した(Iwamoto et al.Dig.Dis.Sci.in press,Iwamoto et al.J.Lab.Clin.Med.in press,Kato et al.J Hepatol.in press)。また、動物モデルとして、ジメチルニトロサミンを用いて肝線維化モデルを作製し、肝組織をMassonトリクロムで染色し、肝線維化の程度を画像定量的に解析している。今後、スーパーフィブロネクチンの合成を引き続き試みるが、昨年III1-cそのものが、Rhoを抑制し、Cdc42を活性化することが報告されており(J.Cell Biol.1998;143:267-276)、調整したIII1-cそのものを用いて伊東細胞に対する効果を観察予定である。
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