研究課題/領域番号 |
10670490
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
渡辺 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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研究分担者 |
小林 大介 札幌医科大学, 医学部, 助手 (50295359)
八木橋 厚仁 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40260757)
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キーワード | H.pylori / テロメア / テロメラーゼ / 胃癌 / 腸上皮化生 / 萎縮性胃炎 / TRAP / テロメラーゼRNA(RTR) |
研究概要 |
不死化した癌細胞や生殖細胞に発現しているテロメラーゼが、癌診断への応用や癌治療の標的分子として、最近注目されている。しかし、良性疾患や前癌病変におけるテロメラーゼ活性の発現については、いまだ不明な点が少なくない。 そこで今回、我々は、胃癌患者31例の手術材料における癌および非癌組織のテロメラーゼ活性値を定量化(TPG;Total Product Generated)し、各種背景因子との関係について比較検討した。その結果、(1)癌組織におけるTPGは33.7±29.5と、腸上皮化生(16.7±12.8)、萎縮性胃炎(10.6±9.2)、正常粘膜(3.5±2.6)に比べ、有意に高値を示した。(2)癌組織のTPGと腫瘍径、壁深達度、リンパ節転移の有無、総合的進行程度には、相関関係はみられなかった。(3)一方、H.pylori感染群や分化型胃癌群で、TPGが高い傾向が認められた。とくに、分化型胃癌症例において、前癌病変である腸上皮化生に着目すると、H.pylori感染群のTPGは20.1と、非感染群の1.3に比べ明らかに高値を示した。(4)TPGとテロメラーゼRNA(hTR)の発現レベルには、相関はみられなかった。 さらに、スナネズミ感染モデルを用い、H.pyloriが胃粘膜細胞のテロメラーゼ活性を誘導し得るか否か検討した。その結果、H.pylori感染群のTPGは40.2±28.5と、非感染群の10.3±9.8に比べ有意に高値を示した。
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