研究概要 |
1)急性肝炎および劇症肝炎例の血清可溶性Fas,FasL動態とTNFα,TNFR1動態の関連を検討した。その結果、これらの動態が病態形成に相互に密接に関連していることを明らかにした(Hepatology Research in press). 2)実験的急性肝不全ラットを作製し、免疫抑制薬であるシクロスポリンA(CsA)の治療効果を検討した。すなわち、D-galactosamine200mg/kgとLipopoly-saccharide10μg/kgを経門脈的に投与して急性肝不全モデルを作製し、CsA(10mg/kg)の前投与群(24,2時間前)、同時単回投与群および同時頻回投与群(0,3,6,9,15時間)に分けて肝機能、肝組織像を比較検討したところ、肝障害の抑制はCsAの同時頻回投与群のみで認められた。各治療群における血清サイトカイン(TNFαおよびIFN-γ)の変動、肝組織中のアポトーシスの程度(TUNEL法による評価)には明らかな差異をを認めず、肝組織中の好中球浸潤程度および血清IL-8の変動に差異を認めたところから、CsAの作用機序の一つとして好中球の遊走、活性化の抑制が考えられた。
|