研究課題/領域番号 |
10670509
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡辺 勲史 東海大学, 医学部, 助教授 (90167156)
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研究分担者 |
西崎 泰弘 東海大学, 医学部, 講師 (80237693)
加川 建弘 東海大学, 医学部, 講師 (30245469)
松崎 松平 東海大学, 医学部, 教授 (40110902)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | 肝循環動態 / 肝微小循環 / 門脈圧亢進症 / 類洞内皮細胞 / SEF / エンドセリン-1 / エンドセリンレセプター / エタノール |
研究概要 |
門脈圧亢進症の病態発生機構を解明するため、肝循環動態の解析ならびに生体肝における肝微小循環動態の観察を行った。急性のエタノール投与による門脈圧亢進症および慢性の四塩化炭素投与による肝硬変モデルを作製し、門脈圧を水柱圧計で、肝組織血流量をlaser doppler血流計で測定し、肝類洞を走査型電顕で観察した。エタノール濃度の上昇とともに門脈圧は上昇、肝組織血流量は低下し、同時に肝類洞内皮細胞小孔(SEF)の数と径の減少が走査型電顕により明らかにされた。これらの循環動態およびSEFの変化はET_Aレセプターの拮抗剤であるBQ-123で阻害されることから、急性のエタノール投与による肝循環障害機構としてET-1を介する血管収縮が関与すると考えられた。Video-enhanced microscopyによる生体肝の観察では、エタノール投与後類洞血流は緩徐となり、白血球のローリングが認められ、肝微小循環障害が惹起され、エタノール投与時の門脈圧亢進に基づく肝循環障害機構の一面が明らかにされた。正常ラットにBQ-123を投与すると、門脈圧は有意に低下し、SEFの著明な拡張が認められた。肝硬変ラットでは血漿ET-1濃度が高値を示し、門脈圧は16.6±1.5cm H_2Oと明らかに上昇したが、BQ-123投与により門脈圧は低下し、肝血流量はほぼ正常に保たれた。一方、ET_Bレセプター拮抗剤であるBQ-788投与では、正常および肝硬変ラットのいずれにおいても明らかな門脈圧、肝組織血流量の変化は観察されなかった。肝におけるETレセプターの発現を検討すると、ET_A、ET_Bレセプターのいずれも肝硬変で増強していた。以上の成績より、肝の循環統御機構においては、ET_BよりむしろET_Aレセプターを介するET-1の作用が主体で、門脈圧亢進機構に深く関与していると考えられた。
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