研究課題/領域番号 |
10670512
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
斉藤 寿仁 東京女子医科大学, 医学部・内科, 講師 (50246609)
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研究分担者 |
高橋 春樹 東京女子医科大学, 医学部・内科, 講師 (00246612)
平川 順子 東京女子医科大学, 医学部・内科, 助手 (40266854)
大塚 洋子 東京女子医科大学, 医学部・内科, 助手 (20307606)
福嶋 康之 東京大学, 医学部・内科, 医員
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キーワード | ヒトヒスタミンH2受容体 / ヒスタミンH2受容体拮抗薬 / ヘリコバクターピロリ / N^αメチルヒスタミン / ヒトH2受容体発現細胞 / cAMP産生 / H2受容体結合 / ヒスタミンH2受容体 |
研究概要 |
1.ヒトヒスタミンH2受容体発現系の確立と受容体拮抗剤の作用 ヒト白血球から抽出したcDNAをベクターを用いCHO細胞に導入しヒトH2受容体を発現する細胞系を得た。10^5ケの細胞あたり280から1030fmolの受容体が発現するクローンを数種類確立した。これらの系を用いて、特異拮抗薬であるタイオチジンとの結合に対する各種のH2受容体拮抗剤の作用の影響を検討した。検討にあたりヒスタミン依存性のcAMP産生に対する各種拮抗剤の酸分泌抑制効果もあわせて測定した。解析した結果からシメチジンやラニチジンなど以前から治療に用いられていたH2受容体拮抗剤に比べ、最近、開発された、IT-066やラフチジンなどは結合持続性が長く、結合強度も上昇していることが判明した。動物の胃粘膜組織やヒトの臨床試験の結果が客観的に証明され、今後の臨床使用の際に、用法や容量に反映されると思われた。 2.ヘリコバクターピロリ(HP)の胃酸分泌機構への直接作用 HP感染患者では、胃粘膜でN^α-メチルヒスタミンが産生されることが報告されている。N^α-メチルヒスタミンはヒスタミンH3受容体刺激作用を有することが知られており、胃粘膜では受容体を刺激することでヒスタミン遊離が低下し、酸分泌が抑制されることからH・P感染は直接的には酸分泌を抑制し、ガストリン分泌を介する間接的な酸分泌が亢進すると考えられている。CHO細胞にヒスタミンH2受容体を発現させた系での解析では、N^αメチルヒスタミンはH2受容体を直接刺激しCAMPを産生し、ヒスタミンより強力なアゴニスト作用を示した。H3受容体拮抗薬の影響は受けず、H・P感染によりH2受容体が直接に刺激される道筋が存在することが明らかとなった。HP感染でのH2受容体の病理生物学的関与が新たに示唆されたと思われる。
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