研究概要 |
同一患者(2例)の大腸癌原発巣と大腸癌転移巣よりmRNAを抽出し、RDA法(PCR法に基ずくRNAのサブトラクション法)を用いて大腸癌原発巣に比し、大腸癌転移巣で発現増強を示す遺伝子群の同定を試み,大腸癌原発巣に比し、大腸癌転移巣で5倍以上の発現増強を示す遺伝子が8種類同定された。内2種類は遺伝子バンクに未登録の遺伝子であり、2種類は遺伝子バンクに登録されている(Cosmid L219のクローン遺伝子、およびBACクローン内16p13染色体上遺伝子)が機能が明らかにされていない遺伝子であった。これら4種類のcDNAの生物学的機能を解析を行っている。 20例の大腸癌患者を対象として、これら4種類の遺伝子の大腸癌原発巣および大腸癌転移巣での発現をReal-time PCR法を用いて検討し、大腸癌転移巣での強発現が確認された。これら4種類の遺伝子は、大腸癌転移巣より樹立された癌細胞株(T84)での発現も確認された。そこでT84よりcDNAライブラリーを作製し、これら4種類のcDNAをクローニングした。これら4種類のcDNAを大腸癌細胞株(HT29,Caco-2)へ遺伝子導入し過剰発現させる事で、各遺伝子のアポトーシス、細胞運動、転移能、増殖能、血管新生誘導能、悪液質産生能に関して、in vitroおよびin vivo(scid mouseへの接種)で解析を行っている。また、これら4種類の遺伝子に対する、アンチセンスベクターを作製し、T84に導入し、各遺伝子の発現抑制がT84のアポトーシス、細胞運動、転移能、増殖能、血管新生誘導能、悪液質産生能におよぼす影響をin vitroおよびin vivo(scid mouseへの接種)で解析する予定である。
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