消化管筋層に存在するInterstitial cells of Cajal(ICC)の刺激伝達機能の解析を目的として、先ず、ICCの標識として認められているc-kit receptorの抗体およびgap junction蛋白Connexin43の抗体を用い、ラット小腸におけるICCとgap junctionの分布について免疫組織化学的に検索した。 小腸壁の縦断切片像でみると、輪層筋最内側の1-3細胞層とこれより外側の主要筋層との間に、深部筋神経叢(DMP)に沿ってc-kit receptor抗体陽性細胞即ちICC-DMPが規則的に観察された。Connexin43に対する免疫染色では、深部筋神経叢を含む輪走筋層全体に陽性反応が観察された。また、この部位の全載伸展標本では、ICC-DMPが二次元的広がりを持つ細胞性網状構造を構成することが明瞭に観察された。免疫組織化学染色の電子顕微鏡的観察では、平滑筋間相互、ICC-平滑筋間のgap junctionに一致して、陽性反応が局在して認められた。ICC-DMPは豊富な神経支配を受けることも、既に観察されていることから、ICC-DMPはConnexin43によるgap junctionを介した細胞網を通じて、消化管運動に際して刺激伝達機能の役割を担っているものと推定された。
|