研究課題/領域番号 |
10670520
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
飯田 三雄 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00127961)
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研究分担者 |
松本 主之 九州大学, 医学部, 助手 (10278955)
水野 充 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90239252)
黒木 文敏 川崎医科大学, 医学部, 講師 (20278956)
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キーワード | 家族性大腸腺腫症 / 遺伝性大腸癌 / サーベイランス / 十二指腸腺腫 / 十二指腸乳頭部腺腫 / 十二指腸陥凹型腺腫 / PCR-SSCP法 / APC遺伝子変異 |
研究概要 |
1.家族性大腸腺腫症(FAP)の十二指腸病変に関する研究 a)FAP患者25例を対象とし、十二指腸の陥凹型腺腫と隆起型腺腫の異型度およびKi-67標識率を用いた細胞増殖能(LI)を比較した.25例中15例は隆起型腺腫のみ観察されたが、10例で陥凹型腺腫を認めた.陥凹型腺腫は隆起型腺腫よりも中等度異型腺腫が多く(70%vs.27%)、LIも高かった(59.7±9.5vs.47.5±10.7).以上より、FAPの十ニ指腸病変のサーベイランスにおいては、陥凹型腺腫に着目する必要があると考えられた. b)十ニ指腸乳頭部が10年以上の長期にわたって経過観察された18例を対象とし、十ニ指腸乳頭部の内視鏡所見、組織像、およびLIの経過を遡及的に検討した.2例では内視鏡的に乳頭が増大し、組織学的には5例で異型度が変化した(正常から軽度異型2例、軽度から中等度異型3例).FAP診断時に乳頭腺腫陽性であった12例では初回検査時と最終検査時のLIに差はなかった.以上より、FAPの乳頭腺腫の進展は比較的遅いことが示唆された. 2.FAPのゲノム遺伝子の検討 PCR-SSCP法およびダイレクトシークエンス法でgenomic DNAのAPC遺伝子変異を同定した15例の臨床徴候を検討した。変異部位はエクソン15が10例、エクソン4が2例、エクソン5、9、13が各1例であった。エクソン15の遺伝子変異10例中8例は密生型大腸腺腫瘍症で、検索した9例全例に胃ないし十二指腸病変を認め、8例中7例に網膜色素上皮過形成(CHRPE)を認めた。エクソン4,5ないし9に変異を認めた4例は、大腸腺腫数が200個以下で、attenuated FAPの病態に合致していた。長期経過とAPC遺伝子変異部位を解析することで、治療方針や患者管理における遺伝子診断の意義が確立可能と考えられる。
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