研究概要 |
1) SART1_<800>はDNAに結合し核内に局在するロイシン・ジッパーモチーフを持つ蛋白であり、遺伝子導入で過剰発現させると細胞周期のG2/Mにアレストしたり、一部の細胞ではアポトーシスが誘導された。おそらく細胞増殖や細胞死に関与する興味深い分子であることが示唆された。 2) ファーウエスタンの為のプローブ作製:SART1_<800>結合蛋白質があるかどうかを調べる為に、放射線同位元素で標識可能なGST一融合タンパクを4種類作製した。大腸菌でそれぞれの蛋白質を発現させ、GSTに対するモノクローナル抗体を用いたウエスタンブロットで確認した。以後、これらをプローブとして用い、ファーウエスタンを行う予定である。 3) 免疫沈降法によるSARTl結合蛋白質の同定:SART1_<800>/myc融合蛋白を発現させる遺伝子(プラスミド)をヒトの線維芽細胞、癌細胞株などにトランスフエクトし、mouseanti-myc monoclonal antibody,rabbit anti-SARTl antiserumなどを用いた免疫沈降を行い、SART1_<800>結合蛋白質の同定を試みた。しかしながら、非特異的蛋白の混入が多く、有意なバンドの検出は困難だった。作成中のモノクローナル抗体が得られた場合には、再度試みる予定である。 4) SART1遺伝子ファミリーのクローニングおよびその解析:SARTlの5'-側の約900bpとはハイブリダイズするが、6A1-1D7とは相補性のない遺伝子をコロニー・ハイブリダイゼーション法でクローニングした。3.3kb(2 clones),2.9kb(1 clone),l.6kb(1 clone),0.9kb(5 clones)の計9クローンが得られ、そのうち3.3kbの遺伝子はSARTlの上流部分と全く同じ配列を有する483アミノ酸と5個の異なるアミノ酸からなる蛋白質であった。
|