研究課題/領域番号 |
10670522
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
田中 正俊 久留米大学, 医学部, 講師 (60179786)
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研究分担者 |
由谷 茂 久留米大学, 医学部, 助手 (20279160)
七條 茂樹 久留米大学, 医学部, 助教授 (30080592)
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キーワード | 癌拒絶抗原 / MAGE-4 / 肝細胞癌 / 発癌予知 |
研究概要 |
MAGE-4蛋白に対するモノクローナル抗体をマウスに免疫し作成した。また、2次抗体をウサギに免疫し作成し、血清MAGE-4測定用サンドウィッチELISAの系を作成した。この系を使い、2年以上発癌を認めない肝硬変患者20名の保存血清、同じく2年以上発癌を認めない慢性肝炎患者21名の保存血清、肝硬変経過観察中に肝細胞癌の診断を受けた患者22名の保存血清中のMAGE-4蛋白を測定した。肝硬変患者のうち発癌した(画像上肝内占拠性病変を認め、生検にて肝細胞癌と診断したもの)患者の癌診断時の血清MAGE-4蛋白の陽性率は36%で、発癌を認めない肝硬変患者の10%、同慢性肝炎患者の9%と比べ高い傾向にあった。また、肝細胞癌診断時にMAGE-4陽性であった患者8名の内、7名の血清ですでに1年前よりMAGE-4は陽性で、同じく7名の血清で2年前よりMAGE-4が陽性であった。これに対し発癌を認めない肝硬変患者と、慢性肝炎患者の血清MAGE-4は各々1名を除き、陰性を継続していた。 これらから血清MAGE-4蛋白が陽性の患者は2年以内に臨床上の発癌を認める可能性があり、画像上捉えられる以前のミクロの発癌を血清MAGE-4の測定で捉えている可能性が示唆される。これらの事から、肝硬変患者の血清MAGE-4の測定は現在の診断力では検出できない癌の検出、すなわち肝細胞癌の予知マーカーとして有用である可能性が示唆される。現在測定血清患者数が、統計学的な有意差が出るに至っていないので、同系でさらに測定検体数を増やし、論文として発表する予定である。
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