平成10-11年度には、lamivudine耐性B型肝炎ウイルスのpolymerase chain reaction(PCR)を利用した検出方法を開発し、それを改良した。これまで用いていた方法では、YVDDのアミノ酸配列を有する変異株の検出において、野生株との混合状態であるとの誤判断をする可能性があったが、1st PCRのprimerの濃度を下げることにより、この誤判断を回避することが出来る可能性があると考えさらに検討を行っている。これまでに構築した高感度の検出法を利用することにより、YMDD motifにmutationを有する変異株が1年後には20%以上の症例で既に出現していることが明らかになった。また、HBV DNAが血中で増加する3-6ヶ月前にすでに変異株が増殖を開始していることを検出することができた。投与開始前の血清からは、YMDD motifの変異株は1例も検出されなかった。さらに検出感度を上げてみれば、投与前の血清からも検出される可能性もあり、このような可能性について、さらに検討を要すると考えられた。現在20例のlamivudine投与例のうち、7例に変異株が検出されており、lamivudine単独投与の治療では限界があることを示していると考えられた。今後さらに、長期投与例や、重症化に対してlamivudineを投与した症例の臨床経過とウイルス学的な変化について検討を重ねてゆく予定である。また、インターフェロン投与を併用した症例において、YMDDの変異株の出現が抑制されていないかどうかについて、検討を加える予定である。
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