昨年度の研究ではTNF-βの多型のうち、Nco I多型のひとつの対立遺伝子TNFB*1がサルコイドーシスの臨床経過を遷延させることが明らかとなった。本年度はその機序について検討するために、サイトカイン産生が実際に遺伝子多型によって変化するか否かを検討した。対象は25名の健常者(TNF-β遺伝子型 : TNFB*1/1 3名、TNFB*1/2 16名、TNFB*2/2 6名)。末梢血より単核球を分離し、96穴マイクロプレートを用いて、PHA0.1%、あるいは抗CD3抗体と抗CD28抗体で刺激し、48時間後の培養上清中のサイトカインを、ELISA法にて測定した。TNF-β遺伝子型、TNFB*1/1、TNFB*1/2、TNFB*2/2それぞれのTNF-α産生はPHA刺激では180(平均)±100(標準偏差)、206±126、268±223pg/ml、抗CD3抗体+抗CD28抗体刺激では、159±58、345±166、296±139pg/ml、TNF-β産生はPHA刺激では520(平均)±370(標準偏差)、325±145、298±100pg/ml、抗CD3抗体+抗CD28抗体で刺激では、242±134、481±320、444±149pg/mlであった。いずれも遺伝子多型により有意差を認めなかった。しかし抗CD3抗体+抗CD28抗体刺激では、TNF-α、TNF-βともにTNFB*1/1での産生低下傾向を認めた。今年度は十分な検体を集めることができなかったが、今後さらに検討を加える必要があると考えられる。
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