研究概要 |
好酸球増多症患者および正常人の好酸球表面のICAM-1、LFA-1β,LFA-1α,Mac-1,VLA-4,CD4,CD25,CD69,CD89、GMCSFR等の染色を行った。好酸球末梢血分画比率と前記項目の関係を検討したところ、好酸球分画の増加に伴いLFA-1α、Mac-1の増加が認められ、逆にVLA-4は減少することが判明した。さらに、前記測定項目同士の相関関係を検討したところ、Mac-1とLFA-1α,CD4,CD69,ICAM-1は正の相関を、VLA-4とMac-1,LFA-1αは負の相関をしめすことが明らかとなった。ICAM-1、LFA-1β,LFA-1α,Mac-1,VLA-4,CD4は接着分子として働いており、好酸球の骨髄からの移動、血管への流出、炎症部血管内腔への接着、間質内移動、炎症部位への到着というふうに、移動の画段階と活性化の度合いによって接着分子の発現様式に変化が生じていくことが示された。また、CD69は細胞の活性化、分化と密接に関連し、一部の細胞では活性化の指標としての有用性が示されたいる。CD69は通常の末梢血好酸球での発現は低く、喘息などの病勢との関連までは明らかにできなかったが、好酸球分画の増加およびICAM-1、LFA-1β,LFA-1α,Mac-1,VLA-4などの接着分子との相関関係が末梢血好酸球ですでに認められたことから、組織においてより活性化された好酸球では接着分子発現の変化のみならずCD69の発現の変化が予想され、今後の研究への期待がもたれた。現在、マウス細胞を用いた新たな実験系においても検討を平行して行っており、骨髄、末梢血、脾臓、腹腔内好酸球においてもその活性化段階においても接着分子など表面蛋白発現に差が見られることを確認している。今後、これらの発現のコントロールのメカニズムについても検討を予定している。
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