研究概要 |
好酸球はアレルギー性炎症の主たるエフェクター細胞として認識されている。本研究では好酸球に発現する分子から、その活性化やsubpopulationにつき検討をおこなっている。 以下、現在まで得られた結果を箇条書きにする。 1)好酸球表面の接着分子ではLFA-1,Mac-1は活性化により発現が増強する。LFA-1,Mac-1の細胞表面発現量は末梢血好酸球分画の増加に伴い増加する傾向がある。 2)VLA-4は発現量は不変であるが、発現の密度がむしろ好酸球の活性化に伴って低下する可能性があり、LFA-1やMac-1とは逆相関を示す。 3)これらのβインテグリン接着分子を介した接着は好酸球の活性化と寿命に関与している。 4)IgAレセプター、IL-5レセプター、PAFレセプター、GMCSFレセプターなどは、通常の臨床例から得られる好酸球をそのまま分析した場合には発現が低い。 5)高親和性IgEレセプターは、好酸球表面には少量発現しており、その発現量は血清IgEレベルの上昇に伴って増加する。 6)高親和性IgEレセプターは骨髄の好酸球内にすでに多量に存在し、末梢血から組織へと移行する間に、血清中IgEと結びつくことにより細胞内から表面に固定され、表面発現した高親和性IgEレセプターとして検出可能となるらしい。 7)高親和性IgEレセプターを発現し、結合するIgEを介して抗原と結合できる。 8)IgEを介した好酸球と抗原の結合により、IL-10が分泌される。 9)HLA DRは好酸球表面に表出されるが、活性化好酸球が多いとされるHES症候群では必ずしも表出されておらず、好酸球におけるHLA DR発現は末梢血好酸球よりむしろ血中IgEとよい相関がみられる。
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