研究分担者 |
佐藤 誠 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
石井 彰 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
庄司 俊輔 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10171018)
幸山 正 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
気管支喘息では、抗原特異的あるいは非特異的な機序によりおもにTh2タイプのリンパ球が気道局所で活性化され、好酸球の浸潤を主体とするアレルギー炎症が成立していると考えられる。しかし、気道粘膜におけるこれらのリンパ球の動員の機構や活性化のメカニズムについては知見が乏しいのが現状である。私たちは、気道上皮細胞が外界からの抗原や刺激物質と第一に接触する位置にあることに着目し、これまでにそのサイトカイン(とくにIL-6,IL-8,GM-CSF,RANTES)の発現能や好酸球との接着機構について検討してきた。今回はさらに、リンパ球の気道局所への動員に気道上皮細胞が積極的に関与しているのではないかという仮説をたて、その際重要と考えられるサイトカイン・ケモカイン群(RANTES,MIP-1,さらに最近同定されたTARCなど)のヒト気道上皮細胞における発現・産生とその制御機構をin vitroで検討した。その結果、ヒト気管支上皮細胞はTリンパ球への遊走因子のうちRANTESおよびTARCを遺伝子レベルでまた活性のあるタンパクとして産生することを明らかにした。また、第2として、粘膜上皮細胞のリンパ球の活性化・分化誘導での役割については、ヒト気道上皮細胞がTリンパ球への抗原提示およびその活性化に重要なMHC class II抗原およびco-stimulatory signalであるICAM-1などを発現することを見いだした。 本研究により明らかにされた、Tリンパ球の気道局所への動員機構や活性化の機序における気道上皮細胞の役割は、アレルギー性気道炎症の病態と治療戦略に多くの知見を与え、気管支喘息の治療の進展に多大の貢献をするものと考える。
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