Leukotoxinと代謝物による細胞活性化と傷害の分子生物学的機序に関する研究-実験的ARDSモデルの研究-

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10670536
• 研究機関: 福井医科大学
• 研究代表者: 石崎 武志 福井医科大学, 医学部, 助教授 (80151364)
• 研究分担者: 松川 茂 福井医科大学, 医学部, 助教授 (00092809) ; 飴島 慎吾 福井医科大学, 医学部, 助手 (60262614)
• キーワード: ロイコトキシン / ディオール / ヒトエポキサイドハイドロレース / Gultathione / 肺細胞障害

研究概要

引き続きロイコトキシン(Lx)および代謝物のディオールの細胞傷害作用について検討した。CHO細胞を用いて安定型human soluble epoxide hydrolase強制発現系を確立した。この系を用いてLxの水解物であるLx diolとLxとの細胞傷害作用を比較した結果、diolの細胞傷害作用はより顕著に認められ、そして細胞内Glutathione濃度をBSOを用いて枯渇するとdiolの細胞傷害作用は増強し、Lxによる細胞傷害作用も出現した。
一方、ヒト肺動脈血管内皮細胞を用いると、Lx、diolともに細胞傷害活性を認めなかったが、細胞内Glutathione濃度を低下させるとLxの細胞傷害作用が出現した。diolでは同様な細胞傷害作用を認めなかった。
この様に用いる細胞によってLxとdiolの細胞傷害作用は異なり、また細胞内Glutathione濃度の差によっても細胞傷害作用は異なって発現されると思われる。さらに、Lx、diolとGlutathioneとの反応代謝系が存在することを思わせる結果でもある。

研究成果

• [文献書誌] T. Ishizaki, et al.: "Leukotoxins and the Lung"Pulm. Pharmacol & Exp. Ther.. 12. 145-155 (1999)
• [文献書誌] 飴島 慎吾 他: "Lxによるヒト肺動脈内皮細胞からのO_2産生に対するSOD,Catalase"日呼吸会誌. 37. 183 (1999)
• [文献書誌] Nakanishi, M. et al.: "Leukotoxin, 9, 10-Epoxy-12-octadecenoate causes pulmonary vasodilation via stimulation of vascular NDS"Am. J. Respir. Crit. Care Med.. 159(3). A559 (1999)
• [文献書誌] Totani, Y. et al.: "Leukotoxin-induced chemotaxis of human neutrophils"Am. J. Respir. Crit. Care Med.. 159(3). A559 (1999)
• [文献書誌] 岡村 誠太郎 他: "リノール酸エポキシド(Lx)による細胞傷害"日本生化学学会雑誌. 71(8). P4-038 (1999)
• [文献書誌] 若林 聖伸 他: "リノール酸エポキシドの代謝と細胞応答"日本生化学学会雑誌. 71(8). P4-037 (1999)