研究概要 |
細菌の膜成分であるK.pneumoniae Kasuya株から得られたエンドトキシン(KO3)はmannose が主成分であり、強力なadjuvant効果がある。このエンドトキシンと同種肺抗原を繰り返し接種することにより、マウスの肺に自己免疫性病変の誘導を試みた。マウスはSMA・系マウス雄性8〜10週令を用い,肺抗原は肺組織を破粋し遠沈した上清を用い、エンドトキシンと混ぜ週一度、12回接種した。接種前にcyclophophamideとG-CSFを投与し、肺の病理変化に好中球の与える影響も検討した。その結果、動脈周囲、器官支周囲にリンパ球の浸潤がみられ、さらに末梢気道に閉塞性病変もみられた。一部に肉芽腫様にリンパ球が集族している病変が得られた。しかし、肺胞間質には繊維化は認められなかった。この病理学的変化はcyclophophamideやG-CSFの投与においても同様にみられ、しかも、cyclophophamide投与の方が強く感じられた。従って、この本モデルにおいて好中球の影響は少ないと思われた。エンドトキシンを接種した群では、IL1β、IL2、IL4とも高値を示し、エンドキサン前処置ではIL4が、G-CSF前処置群ではIL2が低くなる傾向を示したことより、病理学的変化と関連が深かったのは最後のエンドトキシン接種から7日目においても血中で高レベルを示したIL1βと考えられた。肉芽腫様のリンパ球の集族はエンドトキシンを接種したすべての群にみられ、これは使用したエンドトキシンによって強いadjuvannt活性が惹起されるSMA系マウスに特徴的なものと考えられた。 ヒトの膠原病による肺病変の原因究明に有用なモデルと考えられ、さらなる研究が必要である。
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