研究概要 |
研究の展開の必要上,Mycobacterium avium complexについての本研究テーマに結果菌も加えることとした. 1. 細胞内抗酸菌に対する諸種抗菌剤の抗菌活性:レボフロキサシン(LVFX),クラリスロマイシン(CAM)およびリファマイシン誘導体KRM-1648(KRM)のA-549ヒトII型肺泡上皮細胞株(A-549細胞)内Mycobacterium avium complex(MAC)N-444株に対する抗菌活性の発現は,MONO-MAC-6ヒトマクロファージ様細胞株(MM6-MΦ)内におけるよりも弱いが,結核菌Kurono株についてもほぼ同様な傾向が認められた.また,他の開発中のキノロン剤(MSR-903,WQ-3034)を用いての結核菌とMACに対する抗菌活性についてもほぼ同様な成績が得られている. 2. MM6-MΦ内で順化した結核菌あるいはMAC菌(I型菌)とそれぞれの培養菌(E型菌)MM6-MΦ内およびA-549細胞内での挙動と化学療法剤の効果:(1)供試細胞に対する感染性:MM6-MΦ内では,結核菌の感染性はE型菌>I型菌であったが,MACでは逆にE型菌<I型菌であった.他方,A-549細胞では.結核菌とMAC菌ともE型菌<I型菌であった。(2)供試細胞内での増殖能:MM6-MΦ内では,結核菌とMACの細胞内増殖能はE型菌<I型菌であったが,A-549細胞内では,逆に両菌ともE型菌>I型菌であることが分かった。(3)抗菌剤(LVFX,CAM,KRM)の供試細胞内局在菌に対する抗菌活性:LVFXとCAMのMM6-MΦ,A-549細胞内局在菌に対する抗菌活性発現は結核菌,MACのいずれを問わずE聖菌≧I型菌であった.他方,KRMの場合にはいずれの細胞内でも両菌に対する抗菌活性の発現は逆にE型菌<I型菌の関係にあることが分かった. 3. 抗酸菌感染マウス肺での菌の局在部位:MACについて検討を行っているが,現在までのところ電顕的にII型肺胞上皮細胞内への菌の侵入像は認められていない.今後,感染菌数を増やして検討する予定である.
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