研究課題/領域番号 |
10670549
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
井上 博雅 九州大学, 医学部, 助手 (30264039)
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研究分担者 |
松本 幸一郎 九州大学, 医学部, 医員
相沢 久道 九州大学, 医学部, 助教授 (90175711)
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キーワード | 気道炎症 / 気道リモデリング / 好酸球 / Ectaxin |
研究概要 |
長期化・難治化した喘息患者の気道にみられる気道のリモデリングは、基底膜の肥厚、粘液腺の増生やmyofibroblastの出現などの組織再構築を意味している。本研究は、好酸球性炎症・気道過敏性・気道のリモデリングの発生と持続・増強における、好酸球に特異的な遊走作用を持っchemokineであるEotaxinの役割と重要性を検討することを目的とした。 (1)気管支喘息患者の肺癌手術時摘出気管支標本や喘息死亡例の気管支標本において、Eotaxinの発現が亢進しているかどうかを、免疫組織染色法を用いて非喘息患者の標本と比較検討した。非喘息患者に比べ気管支喘息患者や喘息死亡例の気管支標本においては、Eotaxinの蛋白発現が亢進しており、主な発現細胞は、気道上皮細胞と気道に浸潤した好酸球であった。さらに、喘息死亡例の気管支標本においては、気管支平滑筋においてもEotaxinの蛋白発現が亢進していた。(さらに、症例数を増やし論文投稿予定)(2)in vivoで、モルモット気道へEotaxinを単回投与し、局所の好酸球性炎症の程度と気道過敏性亢進の有無を検討した。Eotaxin気管内投与24時間後より、用量依存性にBALF中の好酸球が特異的に増加し、少なくとも7日間持続した。組織学的に、気管・気管支壁の好酸球浸潤を認めたが、肺胞には好酸球浸潤はなかった。Eotaxin単独投与にては気道過敏性の亢進は認めなかったが、PAFをEotaxin投与後に吸入させると、PAF吸入併用群では気道過敏性の亢進が認められた。すなわち、気道におけるEotaxinの作用は好酸球遊走活性のみであり、浸潤した好酸球の活性化にはPAFなどの他の因子が関与していると考えられた。(近日中に論文投稿予定)(3)感作モルモット又はマウスへ抗原を反復暴露(2〜3日毎、計12回)させ、好酸球性気道炎症と気道リモデリングのモデルを作成した。現在、気道過敏性および細胞増殖の指標を検討中である。
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