1.抗原反復曝露により平滑筋を中心とした気道リモデリングを呈する動物モデルを作成し、平滑筋リモデリングの気道反応に及ぼす影響を検討した。卵白アルブミン(OVA)の反復腹腔内投与で感作したマウスに、OVAを反復吸入曝露した。最終曝露24時間後に、気道の組織学的変化・気管支肺胞洗浄(BAL)液中細胞成分・吸入アセチルコリン(ACh)に対する気道反応性を測定した。組織学的には、OVA3回曝露後より杯細胞過形成や気道への好酸球浸潤が認められ、6回曝露後には基底膜肥厚が、12回曝露後には気道平滑筋層の肥厚が出現した。BAL液中の好酸球は、6回曝露後にピークを示し、12回曝露後には低下した。吸入ACh閾値は、OVA曝露6回後から12回後にかけて低下がみられた。抗原吸入を長期間反復すると、好酸球性気道炎症はむしろ軽減したが気道過敏性亢進は持続した。すなわち、気道リモデリングの存在のみで気道過敏性亢進を呈することが示唆された。気道平滑筋リモデリングの成立機序とその制御は難治性喘息管理における重要な問題であり、この動物モデルはその解析に有用と思われた。 2.気道上皮の杯細胞過形成については、タバコ煙と反復曝露により杯細胞増生を呈する動物モデルを作成した。モルモットにタバコ煙を反復曝露したところ、14日間の反復曝露により気管上皮杯細胞数が有意に増加した。platelet-activating factor(PAF)は杯細胞過形成を惹起することが報告されている。タバコ煙反復曝露後にはBAL液中好酸球数及びPAF濃度も増加を認めた。このモデルは、タバコ煙による杯細胞過形成/化生の成立機序の解明に有用と思われた。
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