研究概要 |
Clara cell 10-kDa蛋白質(以下CC10)は細気管支領域の無線毛上皮細胞(Clara細胞)より主に産生分泌され、CC10は機能として分泌型phospholipase A2(PLA2)およびphospholipase C(PLC)の阻害作用を有する抗炎症蛋白質である. ヒトCC10を認識する単クローン抗体を9つ作製し,その認識するエピト-プの解析を行い,TY-5,TY-7,TY-8が疎水性部分を認識し,免疫染色,immunoblottingおよび中和抗体として有用であることを示し,その他の抗体TY-1,TY-2,TY-3,TY-4,TY-6,6D4がELISAに適していることを明らかにした. 呼吸器疾患のうちで,Th2 cytokine産生優位である気管支喘息患者において血中CC10が低下し免疫組織化学的にCC10産生肺細胞が減少し,その減少がT細胞と肥満細胞集積と逆相関することを明らかにした. Th1 cytokine産生優位であるサルコイドーシス患者においては血中CC10が増加しており,転帰良好な群において,血中および気管支肺胞洗浄液(BALF)中のCC10が有意に増加することを明らかにした.また,recombinant human CC10がサルコイドーシス患者LPS刺激BALF細胞におけるinterferon-gamma産生を抑制することを明らかにし,サルコイドーシスにおけるCC10のcytokine産生抑制作用を示した.
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