研究概要 |
1.CC10値に対する検査手技や喫煙の影響 気管支肺胞洗浄液中でサーファクタント蛋白質A(SP-A)とCC10が検査手技によりどのように影響されるかを検討した.50-ml生食を3回洗浄した場合にはCC10は初回が最も高値であり,SP-Aは2回目が最も高値であった.喫煙によりCC10は血中および気管支肺胞洗浄液中で有意に減少する.また,免疫組織学的検討でも喫煙者では非喫煙者に比較し細気管支領域においてCC10陽性細胞は有意に減少していた.によりCC10陽性細胞が減少し,その結果,血中および肺局所のCC10濃度が減少すると推定された. 2.喘息におけるCC10変動 正常対照に比較し,血中CC10値は喘息患者で有意に低下していた.血中CC10値は罹病期間が10年以上の群が10年未満の群に比較して有意に低下していた.免疫組織学的検討では,肺機能が正常である対照に比較し,small airwayにおけるCC10陽性細胞が喘息群で有意に減少していた.さらに,small airwayの気道上皮細胞におけるCC10陽性細胞比率が好酸球浸潤の程度とは関連がなかったが,T細胞浸潤と肥満細胞浸潤の程度と逆相関していた. 3.サルコイドーシスにおけるCC10変動 我々はサルコイドーシスにおいて,IFN-γ,IL-12とIL-18産生亢進を肺局所およびその反映として血中でもIFN-γとIL-18が高値となることを明らかにした.CC10が正常対照に比較してサルコイドーシスにおいて血中CC10が有意に高値になることを明らかにし,さらに,予後良好群において予後不良群と比較し,血中および気管支肺胞洗浄液中で有意に高値であることを明らかにした.また,recombinant CC10はサルコイドーシス患者の気管支肺胞洗浄液細胞からのIFN-γ産生を有意に抑制することを明らかにした.
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