研究概要 |
50時間100%酸素曝露ラット肺に対する2種類のNO合成酵素阻害剤(曝露開始前12時間前から12時間毎に投与)、即ちType II NOSに対して選択性の高いL-N^6-(1-iminoethyl)lysine(L-NIL)と選択性のないL-N^G-monomethyl arginine(L-NMMA)の影響を検討した。(G1)空気対照群、(G2)酸素対照群、(G3)酸素+L-NIL群、(G4)酸素+L-NMMA群の4群(各群n=10)に分け、肺湿乾重量比〔W/D〕、気管支肺胞洗浄液中総蛋白量〔BALP〕(肺傷害の評価)、血中NO_X濃度(NO産生量)、肺組織におけるNOS(typeIIおよびIII)mRNAの発現について検討した。結果は、G1-4の順で次の通りであった。W/D:4.49±0.05§,5.64±0.13^*§,5.61±0.13^*§,6.23±0.21^*.BALP(mg/dl):4.1±0.3§,191.1±36.1^*§,266.8±47.8^*§,492.0±60.9^*§.NO_X(x10^4M):7.2±0.7†,10.3±0.4,6.6±0.2†,7.7±0.8†(平均±標準誤差、^*§†は各々G1,G4,G2比べ有意差あり,p<0.004).酸素曝露によりtype IIおよびIIIのNOSmRNA発現が共に亢進したが、競合的阻害剤であるL-NIL又はL-NMMAにより抑制されなかった。以上から、L-NMMAは高濃度酸素性肺傷害を増悪させており、typeIII NOは防御的に作用することが示唆された。また、typeII NOは高濃度酸素性肺傷害の発生機序に関与していない事が推察された。
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