(1)反復抗原投与後の気道上皮リモデリングとClイオン輸送能について検討 慢性抗原暴露により杯細胞増生などの気道のリモデリングが生ずることが報告されている。本年度はリモデリング上皮とCIイオン輸送について検討した。モルモットに卵白アルブミン(OA)を週1回、4週にわたり腹腔内投与を行った。6週目に気管を摘出し、PAS/alcian blue染色、CFTRの免疫染色を行った。またUssing chamberに気管粘膜をマウントし、アミロライド存在下に短絡電流を連続的に測定した。OA反復抗原投与群では、コントロール群と比較して、気道粘膜の杯細胞化、綿毛細胞のapical membraneにおけるCFTR発現の亢進が認められた。またbaselineの短絡電流の亢進、および種々の分泌刺激物質(イソプロテレノール、ヒスタミン、ブラデイキニンなど)で短絡電流の反応性の亢進を認めた。これらの変化はデキサメサゾン、Th2阻害薬であるトシル酸スプラタスト、抗IL-4抗体の併用により有意に抑制された。一方、抗IL-4抗体の対照として使用した正常IgGでは抑制されなかった。以上のことから、1)反復抗原暴露は杯細胞増生やCFTR発現亢進といったリモデリングが生じ、分泌亢進の準備状態を形成する。2)これらのリモデリングにはTh2サイトカイン、特にIL-4が関与している。3)ステロイドやTh2阻害薬は過分泌の治療に有効である可能性がある。
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