運動誘発性喘息(EIA)の発生機序の基礎的検討を目的として気管上皮細胞を低温ストレスに曝し、サイトカイン発現とそれを制御する細胞内シグナルをp38mitogen-activated protein kinase(MAPK)およびc-Jun NH_2-terminal kinase(JNK)のリン酸化・活性化とp38MAPKの特異的阻害薬SB203580の気管上皮細胞のIL-8発現を解析し以下の成績を得た。(1)低温ストレスは気管上皮細胞にp38MAPKおよびJNKのリン酸化・活性化、を誘導した。(2)低温ストレスは気管上皮細胞にIL-8産生とIL-8 mRNA発現を誘導しなかったが、低温後の再加温によりIL-8産生とIL-8 mRNA発現を誘導した。(3)SB203580は低温/再加温によるIL-8産生とIL-8 mRNA発現を抑制した。以上の成績は、低温/再加温による気管上皮細胞のIL-8産生とIL-8 mRNA発現は少なくともp38MAPKを介することを示唆した。低温(低温/再加温)ストレスにより気管上皮細胞にIL-8発現が誘導されたことは、EIAに伴う遅発型反応症例の気管支肺胞洗浄液中の好中球増加に関与する可能性が推測される。さらに、高浸透圧ストレスで気管上皮細胞を曝し、同様な研究を行なっている。
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