研究概要 |
喘息の病態におけるIL-18の役割を検討する目的で,オブアルブミン(OVA)感作暴露によるマウス喘息モデルを用いてIL-18欠損の喘息反応に及ぼす影響を観察した.IL-18KO喘息マウスでは野生型喘息マウスと比べ気道内の好酸球増多の有意な増強を認めた.一方好中球,CD4,CD8,マクロファージなど他の炎症細胞の浸潤は,気管肺胞洗浄液および肺組織中において明らかな差を認めなかった.これらの所見はIL-18が気管支喘息において好酸球の抑制に関与している可能性を示唆した.一方IL-18KO喘息マウスに対してリコンビナントIL-18(rIL-18)を投与すると気道周囲の好酸球の有意な減少が認められた.従ってIL-18は気管支喘息での好酸球の浸潤に対して抑制的に作用することが明らかになった.次に気道におけるサイトカインを測定しIL-18欠損による好酸球の浸澗亢進作用の機序を検討した.その結果IL-18KOマウスでは野生型マウスに比べてIFN-γの産生低下を認めたものの,OVA暴露後のIL-4,IL-5,IL-12は有意差を認めなかった. IL-18によるapoptosisの誘導効果に関しては培養系ではすでにIL-18の単独の効果としてFas-Lの発現増強作用が報告されている.好酸球は低濃度ながらFas receptorを発現している.IL-18のFas/FasL pathwayを介する好酸球のapoptosisを検討する目的でIL-18KO喘息マウスに対してrIL-18を投与した結果,OVA暴露後の好酸球浸澗は非投与群に比べて有意に減少した.更にrIL-18の投与によって気道局所のFas-L positive cellとapoptotic cellの増加が観察された.従って気道局所の炎症細胞,特に好酸球のクリアランスにはIL-18のapoptosisの誘導が有用であり,IL-18が気管支喘息の治療に応用できる可能性が示唆された.
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