研究課題/領域番号 |
10670570
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 一男 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (70280873)
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研究分担者 |
小野寺 宏 東北大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20214207)
糸山 泰人 東北大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30136428)
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キーワード | HTLV-I / HAM / ADCC / 免疫監視機構 / レトロウイルス / ミエロパチー |
研究概要 |
HTLV-I関連脊髄症(HAM)では抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)が低下している。我々は、ヒトのNK-T細胞マーカーであるCD56の低下を確認し既に報告した。本研究では、NK-T細胞のHTLV-Iに対する免疫監視機能について検討した。(1)HAM患者の単核球を抗CD16抗体で処理して血清とともに抗HTLV-I ADCC活性を測定すると細胞障害性は全くみられなくなった。一方、抗CD56,CD57抗体では有意なADCC活性の抑制はみられなかった。(2)NK-T細胞はHTLV-I感染細胞に対する有意な細胞障害活性はみられなかった。(3)HAM患者のNK-T細胞をモノクローナル抗体で分離し、PCR法によりHTLV-I感染の有無を検討したところウイルスゲノムは検出されなかった。以上より、NK-T細胞はCD16分子を介したADCCにより初めてHTLV-I感染細胞に対して有意な細胞障害性を示す。またNK-T細胞サブセットの減少は、この細胞自体はHTLV-Iに感染していないことから、サイトカインなどの液性因子によるdownregulationに起因するのではないかと思われる。実際、HAM患者の単核球をinterferon(α及びγ)を添加して培養した後にADCC活性の測定を行うとしばしば活性は低下した。成人T細胞性白血病において、標的となるHTLV-I感染細胞を予め抗HTLV-I抗体で3日間培養した後、患者の単核球を添加しADCC活性を測定すると標的細胞表面の抗原が修飾されて破壊されなくなる。HAMでもADCCに必要な抗HTLV-I抗体は血清中に過剰に存在し、一方エフェクター細胞は減少していることから同様の機序によりHTLV-I感染細胞がADCCによる破壊を免れる可能性がある。
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