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1998 年度 実績報告書

セルロプラスミン欠損症における遺伝子異常と発症機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 10670581
研究機関浜松医科大学

研究代表者

宮嶋 裕明  浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (90221613)

研究分担者 高橋 良和  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (90303560)
キーワードセルロプラスミン / 無セルロプラスミン血症 / 遺伝子異常 / 鉄 / 脂質過酸化 / 髄液 / 極長鎖脂肪酸
研究概要

セルロプラスミシ欠損症は、無セルロプラスミン血症と脳、肝、膵をはじめとする全身の諸臓器への鉄の沈着を来し、神経症状、網膜変性、糖尿病を呈する常染色体劣性遺伝の鉄代謝異常症で、我々が1987年に世界で初めて一家系を報告した。我々の症例を含め現在までに国内8家系、海外1家系が報告されており、6つの遺伝子異常が同定されている。また、症状発現には沈着した鉄がフリーラジカルを介して脂質過酸化亢進を起こし細胞傷害を来すことが関与すると予想され、我々はすでに血漿での脂質過酸化が亢進していることを報告した。
1. 今回は、富山で発見された一家系について遺伝子異常を検討した。この家系では従来の症例と異なり、神経症状でhyperkinesiaはとらずhypokinesiaであるパーキンソニズムを呈したことが特徴的であった。また、網膜変性、糖尿病を認めたが、発症は遅くその程度は軽度で、鉄蓄積の程度は比較的軽度であった。遺伝子解析の結果、遺伝子異常はエキソン11のnt2,068のGの欠失であった。このためフレームシフトが生じ、premature terminationが出現するため、正常よりも短い蛋白が合成されすぐに分解してしまうものと考えられた。
2. セルロプラスミンはそのフェロオキシダーゼ活性により血漿の強力な抗脂質過酸化作用を有しており、鉄やフェリチンは脂質過酸化を促進することがわかっている。今回は、髄液の鉄濃度と過酸化脂質を測定した。その結果、homozygoteでは著明に鉄濃度は増加しており、これに相関して過酸化脂質の増加を認めた。heterozygoteでは、正常コントロールとの有意差はなかった。従って、本疾患では脳内の鉄蓄積に伴って脂質過酸化の亢進があると考えられ、これが神経症状の発現に関与していることが予想された。また、赤血球膜の脂質分折より、極長鎖脂肪酸の特異的な増加を認めた。これは鉄の沈着によるフリーラジカルの発生がペルオキシゾームを介した極長鎖脂肪酸の代謝を障害した可能性が考えられた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Miyajima H.: "Increased very long-chain fatty acids in erythrocyte membranes of patients with aceruloplasminemia" Neurology. 50・1. 130-136 (1998)

  • [文献書誌] Miyajima H.: "CSF abnormalities in patients with aceruloplasminemia" Neurology. 51・4. 1188-1190 (1998)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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