研究課題/領域番号 |
10670584
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 昌泰 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20192346)
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研究分担者 |
桑原 敬介 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
大槻 俊輔 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
北川 一夫 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70301257)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | チロシンリン酸化 / 脳虚血 / 微小循環障害 / アポトーシス / ストレス蛋白質 / HSP110 |
研究概要 |
我々はこれまで砂ネズミ一過性重度脳虚血モデルを用いて、神経細胞の虚血に対する選択的脆弱性のチロシンリン酸化に含む各種の細胞内情報伝達系が関与することを報告し、この神経細胞の選択的脆弱性に関わる物質を同定することを目的として研究を行ってきた。近年、各種の遺伝子変異マウスが作成され病態の解析モデルとして応用されている。そこでどのような脳虚血モデルを用いて遺伝子クローニングを行うかを決めるため、再現性良好なマウス一過性重度前脳虚血モデル、局所脳虚血モデルを確立した上で、アポトーシスや微小循環に関与することが知られている物質を過剰発現もしくは欠損させたマウスを用いて脳虚血病変に及ぼす影響について検討した。その結果、微小循環障害は中大脳動脈閉塞により発生する脳梗塞サイズの進展には関与するが、神経細胞の選択的脆弱性への関与は少ないこと、アポトーシスは虚血に対する神経細胞の選択的脆弱性に関与する可能性が示された。そこで神経細胞の選択的脆弱性に関与する分子をクローニングするため、ラット一過性重度前脳虚血モデルを用いてデイファレンシャル・デイスプレイ法を行った。その結果、数種類の物質が虚血により遺伝子発現が亢進する物質として同定されたが、中でもHSP110ファミリーとホモロジーを示す新規物質(ischemia responsive protein 94:irp94と命名)について解析を行った。irp94は840アミノ酸残基を有し、HSP110ファミリーであるHSP105やOSP94とホモロジーを示すHSP110ファミリーに属することが明らかとなった。一過性重度前脳虚血再潅流後、海馬において4時間から24時間まで発現亢進を示し、主として神経細胞に局在することが明らかになった。本研究期間中に、神経細胞の虚血ストレスに対する応答に関与する新規物質irp94のクローニングに成功したが、さらに神経細胞の選択的脆弱性に関与する物質を同定すべく、遺伝子クローニングを継続して行っている。
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