研究課題/領域番号 |
10670585
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北川 一夫 大阪大学, 医学部, 助手 (70301257)
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研究分担者 |
桑原 敬介 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
大槻 俊輔 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 講師 (20192346)
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キーワード | 脳虚血 / 細胞増殖 / 遅発性神経細胞死 |
研究概要 |
ラットの4血管閉塞による一過性重度前脳虚血モデルを用いて、短期間虚血再潅流後に海馬歯状回の神経precursor細胞の存在が報告されている領域での細胞増殖の程度を評価した。あらかじめ前日にネンブタ-ル麻酔下に両側椎骨動脈を電気焼却した動物の両側総頚動脈を軽エ-テル麻酔下に剥離、10分間クリップしたのち、血管閉塞を解除した。非虚血動物、虚血1-28日後のラットに、チミジンのanalogueであるbromodeoxyuridine(BrdU)を腹腔内投与したのち、深ネンブタ-ル麻酔下に4%パラフォルムアルデヒド液にて潅流固定し、脳を取り出し後固定後、ビブラト-ムにて海馬を含む切片を作成し、抗BrdU抗体を用いた免疫組織化学染色に供した。非虚血動物でも、海馬歯状回にBrdU陽性細胞の存在が確認されたが、虚血再潅流4-14日後まで同領域でのBrdU陽性細胞のclusterの出現とその細胞数の増加が観察された。また砂ネズミ両側総頚動脈5分間閉塞による一過性重度前脳虚血モデルでも、細胞増殖のマ-カ-であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)の存在を海馬歯状回で検討したところ、虚血再潅流7日後をピ-クとしたPCNA陽性細胞の出現が観察された。以上の結果から、成熟動物脳でも、虚血再潅流後、神経precursor細胞が分裂、増殖することが強く示唆された。今後、分裂増殖したpresursor細胞が神経細胞に分化するかどうかを明らかにするとともに、神経precursor細胞の分裂、増殖を規定する因子について薬理学的に検討していく予定である。
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