研究概要 |
1.脳梗塞再発の危険因子に関する調査では初発脳梗塞で,脳血管障害が再発した再発群と再発せず24ヶ月以上血圧の経過を観察できた対照群の計135例(再発群30例,対照群105例)lを対象とし中間解析を行った.その結果、再発群と対照群の間では全体の血圧は再発群が有意に高値だった.累積発生率は全症例,脳血栓症例ともに収縮期血圧,拡張期血圧,平均血圧ともにJ現象パターンを示しているが,収縮期血圧、拡張期血圧は有意なではなかった.しかし,平均血圧では全症例,脳血栓症例ともにJ現象を示し,血圧が高い群で有意に発生率が増加した(全例:p=0.0006,血栓症:p=0.0007).再発群では高血圧を有する症例が有意に多かった.他の危険因子(糖尿病,高脂血症,心房細動,喫煙,飲酒)については危険因子の有無では有意な差は認めなかった.血圧変動率と再発率の間には有意な関係はなかった.再発病型との関係では、ラクナ梗塞では脳出血で再発する症例が見られたが,アテローム血栓性梗塞,心原性脳梗塞ではそのような症例はなかった.脳血流等については検討中である。 2.Lp(a)濃度およびphenotypeに関して無症候性脳梗塞147名と対照群214名で検討した。多変量解析の結果Lp(a)遺伝子多型の無症候脳梗塞群に対するOdds ratioは2.18(CI:1.14-4.18)と高血圧の5.71に次いで有意な危険因子として抽出された。 3.Wisconsin card sorting testを脳ドック受診者298名で施行した結果、PVH2度以上群で成績が有意に低下した。脳ドックでの前頭葉機能検査に応用出来る可能性が示唆された。
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