研究概要 |
1,HAM患者末梢血CD4陽性Tリンパ球におけるTh1マーカー陽性細胞について Th1マーカーであるE-selectin ligand発現細胞が増加していることとその機能検索においてTh1サイトカインであるIFN-γ産生が著明に亢進していることを明らかにし,さらにE-selectin ligand発現にはHTLV-Iが関与している可能性を示した(論文投稿中)。 2,HAM患者末梢血CD4陽性Tリンパ球の機能検索 (1)Fas/Fas ligandを介した細胞障害性が亢進していることを明らかにした(J Neuroimmunol 86:198-201,1998)。 (2)VCAM-1/VLA-4 pathwayを介してのmatrix metalloproteinase-2の発現亢進を明かにした(J Neuroimmunol 99:242-247,1999)。 (3)HAM患者末梢血CD4陽性Tリンパ球ではFas抗原の発現亢進と共にapoptosis抑制系の蛋白であるBcI-xLの発現も亢進していてFas/Fas ligandを介したapoptosisに抵抗性を持つ可能性を示した(論文投稿中)。 3,HAM患者血清・髄液におけるTh1関連(IL-12,IFN-γ)およびTh2関連(IL-4,IL-10)サイトカインの検索では,Th1関連サイトカインが高値を示すことを明らかにした(J Neuroimmunol 95:185-189,1999)。 4,HAMに対するペントキシフィリン治療前後におけるTh1およびTh2関連サイトカインの動態の検索では,その治療が有効な症例ではTh2サイトカインが上昇してくることを明らかにした(Inten Med 38:717-721,1999)。 以上のように,HAM患者末梢血CD4陽性Tリンパ球ではHTLV-Iのhigh proviral loadを基盤としてTh1/Th2バランスが極端にTh1に偏り(Med Hypotheses,in press),そのことがHAMの発症・病態に強く関与していることを明らかにした。
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