GTP-cyclohydrolasel(GCH)遺伝子の異常を有し、常染色体優性遺伝形式をとるDRD(Dopa-responsivedystonia)が知られているが、この臨床的浸透度が正常と異常GCH遺伝子の相対的発現レベルに影響される可能性について報告してきた.さらに浸透度の機序を細胞発現系において検討するため、野性型および種々の変異をもつGCHcDNAを合成して、単独あるいは野性型と変異型を同時にCOS-7細胞に発現させた.DRD患者からの変異GCHの単独発現では酵素活性はなく、野性型との共発現ではGCH活性は変異GCHmBNAの発現量が増加するにしたがい低下した.変異GCHcDNAの種類によって低下の程度は異なったが、いずれの変異型も野性型と反応して活性を低下させるドミナシトネガティブ効果を示した.一般に酵素異常症では、活性が正常の50%となるヘテロ接合体では発症しないが、DRDに存在する変異は正常酵素活性を抑制するため、総活性は50%以下の低値となり発症に結び付くことが考えられる. 一方、GCH遺伝子異常を有するもののなかに、劣性遺伝形式をとるatypical hyperphenylalaninemia(HPA)が報告されている.この変異GCHについて同様に発現実験を行いドミナントネガティブ効果について確認した.
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