研究概要 |
Guillain-Barre症候群(GBS)の動物モデルである実験的自己免疫性神経炎(EAN)は,末梢神経ミエリンの構成蛋白であるP2蛋白(P2)により惹起される.最近,我々は,P2アミノ酸配列の55-76ペプチドとBlomiatropicallis(Bt)ネッタイタマニクダニから得られたrecombinant allergenとに約80%の相同性があることを発見した.そこで我々は,本邦に多く生息しBtと同科であるGlycyphagus domesticus(Gd)イエニクダニを飼育,Gdのすり潰しをラットに接種し,GdにEAN抗原性を有することを確認した.さらに,EAN抗原性を有するヒトP2のアミノ酸配列55-76(P2-SP),ならびにこのペプチドと相同性を有するダニrecombinant allergenの54-75(ダニ-SP)をそれぞれ合成し,ダニ-SPにEAN抗原性があることを神経症候学,病理組織学に認めた.細胞性免疫学的検討では,ダニすり潰し,ダニ-SPによるEAN動物においても,GBSにおいて認められると同様に,ヒトP2アミノ酸配列53-78,60-78に対する特異感作T細胞が出現を認めた.この特異感作T細胞はダニとヒトとの両者の合成ペプチドに反応し,交叉反応性を有することを認めた.以上より,ダニ感作がGBSの発症に関連するものと推察した.
|