研究概要 |
ドパミンとその代謝関連物質であるdimethoxyphenylethylamine(DMPEA),tetrahydropapaverine,papaverine,またヒトにパーキンソニズムをおこすMPP^+について黒質神経毒性を検討した。C57黒マウス脳よりミトコンドリア層抽出し、ミトコンドリアに対する神経毒候補を投与するとpapaverine,tetrahydropapaverine,DMPEA,MPP^+の順にcomplex1に対する活性が抑制されていた。ドパミシとその代謝物のHVA,DOPAC,3-MTはほとんど抑制効果を認めなかった。またラット黒質線条体神経細胞培養を用いてチロシン水酸化酵素陽性細胞に対する影響を検討するとpapaverine>MPP^+>tetrahydropapaverine>DMPEAの順に細胞数の減少(毒性)を認め、ミトコンドリアcomplex1に対する抑制効果と類似していた。そこで毒性の弱いtetrahydropapaverineとDMPEAについてin vivoにおける作用をみるためにラットに腹腔内全身投与したが線条体ドパミン量に有意な変化はなかった。さらにミニ浸透圧ポンプによる線条体内局所持続投与(7日間)を施行したところ、30-40%の線条体ドパミン量の低下と組織化学的にチロシン水酸化酵素陽性細胞数の減少(20-30%)を認めた。以上、これらのカテコール基にメチル基の結合した物質によりドパミン欠乏状態が生じる可能性があることが示唆された。
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