研究概要 |
1.200例の特発性パーキンソン病の患者でパーキン遺伝子ホモ欠失変異を4例に認めた.欠失例は,38歳から48歳の発症で,比較的若年発症である傾向がみられた.ハプロタイプ解析でパーキン遺伝子が関与しているとは考えられない家系も確認された.56例のPD患者においてすべてのエクソンのシークエンシングを行いL272I,V380Lが2例と5例にみられるもほかには病的点変異は認めなかった.PD患者とコントロールで調るも頻度の違いは確認されなかった.定量的PCR法でエクソン4を52例で,エクソン3,4,5について21例で検索するもヘテロの欠失は検出されなかった.以上パーキン遺伝子は,パーキンソン病の遺伝的背景の一部をなすが,本遺伝子のみでパーキンソン病発症の過半を説明するまでには至らない. 2.NACP(α-synuclein)遺伝子解析を優性遺伝形式の家系や,dementiaをともなっている症例を主に,12例でおこなうも変異は認められなかった.イントロンでの欠失と1塩基置換を一部にみとめたが,とくにイントロン5の2箇所は頻度が多いもののようで,多型と考えてよい.常染色体優性遺伝形式をとる家族性パーキンソニズムの1家系で多型をマーカーにした結果α-synuclein遺伝子座と連鎖しないことが確認された. 3.病理学的に確認された進行性核上性麻痺患者のタウ遺伝子型 病理学的に確認された進行性核上性麻痺患者のみを対象とした.日本人は,遺伝的に均一性が高く,患者もコントロール群もともに欧米でPSP群で多くみられるとされる遺伝子型であった. 4.タウ遺伝子P301L変異が確認された脱抑制と痴呆を主徴とする症例とパーキンソニズムを主徴とする症例において,タウ遺伝子型に明確な相違があることがあきらかとなった.これが両者の臨床型の違いを規定している可能性がある.
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