研究概要 |
(目的)単純ヘルペス脳炎(HSVE)例および非HSVE例の経時的な髄液検体を用い化学発光法による髄液内HSV抗原定量、感度の異なる2種のPCR法による髄液内HSV-DNA定量をおこない、各測定法の感度,特異性,陽性予知率および陰性予知率を比較した。(対象/方法)HSVE11例,24髄液検体と非HSVE脳炎20例の29髄液検体を用い化学発光法,single PCR法およびnested PCR法で定量した。(結果)化学発光法は,1検体を除く第3〜25病日の全髄液検体にて50〜48.000pfu/ml相当の抗原量を検出した。single PCRでは6検体において50〜47.000pfu/mlのゲノム量を検出した。nested PCRでは11検体において100未満〜120.000copy/mlのゲノム量を検出し得た。HSVEの各測定法の感度は症例ベースで化学発光法100%,single PCR36%,nested PCR56%、検体ベースで化学発光法88%,single PCR25%,nested PCR52%であった。非HSVEはいずれも陰性であった。HSVEの発症第1病日〜第7病日の急性期において、化学発光法およびnested PCR法の感度は、100%であった。しかし、single PCR法では75%と低かった。第8病日〜第32病日までの急性期以後では、化学発光法は両PCR法より検出感度が高かった。特異性および陽性予知率は、各測定法100%であった。しかし、陰性予知率では化学発光法はsingle PCR法よりも高値を示した。(まとめ)化学発光法の感性は急性期においてnested PCR法と同等の性能を示し、急性期以後ではnested PCR法より感度は高かった。さらに、最小検出感度の異なるPCR法において本症の検出感度は大きく異なってた。以上より、現時点での本症の診断には、PCR法、化学発光法および血清診断のcombinationが撮も効果的な診断法と考えた。
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