1)カイニン酸誘発性Ca^<2+>流入経路の検討:カイニン酸投与時に生じる細胞内へのCa^<2+>流入の経路について解明した。可能性として以下の3経路が推察された。a)non-NMDA型グルタミン酸レセプターより直接流入する。b)電位依存性Ca^<2+>チャンネルより流入する。c)reverse modeのNa^+-Ca^<2+>exchangerより流入する。カイニン酸誘発性のCa^<2+>流入はCa^<2+>透過性の低いGluR2を含まないnon-NMDA型グルタミン酸レセプターを抑制するn-acetyl-spermine投与によって減少したが、電位依存性Ca^<2+>チャンネル阻害剤のnimodipineでは抑制されず、Na^+-Ca^<2+>exchanger阻害剤のdichlorobenzamilおよびbenzamilで著明に抑制された。以上より、カイニン酸投与時に生じる細胞内へのCa^<2+>流入経路としてnon-NMDA型グルタミン酸レセプターよりの直接流入とreverse modeのNa^+-Ca^<2+>exchangerを介する流入が明かとなった。 2)cAMPおよびcGMP上昇薬物のカイニン酸誘発性のCa^<2+>流入の抑制機序についての検討:Na^+channel openerのveratridineとNa^+/K^+-ATPase阻害剤のouabainを同時に投与し、細胞内へ過剰のNa^+を流入させ、reverse modeのNa^+-Ca^<2+>exchangerを介するCa^<2+>流入に対してcAMPおよびcGMP上昇薬物が影響するかについて検討した。cAMP上昇薬物のforskolin、ibudilast、propentofyllineおよびcGMP上昇薬物のdbcGMPはveratridineとouabainの同時投与によって誘発されるCa^<2+>流入を抑制した。さらにcAMP上昇薬物による抑制効果はprotein kinase A(PKA)の抑制剤のH-89で抑制された。またveratridineとouabainの投与によるCa^<2+>流入はprotein kinase G(PKG)activatorの8-pCPT-cGMPとphosphatases 1&2Aの阻害剤のokadaicacidで抑制された。以上より、cAMPおよびcGMP上昇薬物のカイニン酸誘発性のCa^<2+>流入の抑制機序の一つとして、PKAおよびPKGを介する細胞内蛋白リン酸化過程によるNa^+-Ca^<2+>exchangerの抑制が推察された。
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