我々はオリゴデンドログリア(オリゴ)の低酸素性・低グルコース誘発性の細胞障害がnon-NMDA型グルタミン酸レセプターを介するCa^<2+>流入によることを明かとした。まず、このnon-NMDA型グルタミン酸レセプターを介するCa^<2+>流入の経路について解明した。Kainate誘発性のCa^<2+>流入はCa^<2+>透過性の低いGluR2を含まないnon-NMDA型グルタミン酸レセプターを抑制するn-acetyl-spermine投与によって減少したが、電位依存性Ca^<2+>チャンネル阻害剤のnimodipineでは抑制されず、Na^+-Ca^<2+>exchanger(NCX)阻害剤のdichlorobenzamilおよびbenzamilで抑制された。以上より、kainate投与時に生じる細胞内へのCa^<2+>流入経路としてnon-NMDA型グルタミン酸レセプターよりの直接流入とreverse modeのNCXを介する流入が明かとなった。次に、我々は細胞内AMPおよびcGMP上昇薬物が低酸素・低グルコース状態誘発性のオリゴの細胞死を抑制し、同時にkainate誘発性のCa^<2+>流入を抑制することを明かとした。この抑制機序について解明した。Na^+ channel openerのveratridineとNa^+/K^+-ATPase阻害剤のouabainを同時に投与し、細胞内へ過剰のNa^+を流入させ、reverse modeのNCXを介するCa^<2+>流入に対するcAMPおよびcGMP上昇薬物の影響を検討した。cAMPおよびcGMP上昇薬物はveratridineとouabainの同時投与によって誘発されるCa^<2+>流入を抑制した。以上より、cAMPおよびcGMP上昇薬物の低酸素・低グルコース状態誘発性のオリゴの細胞障害に対する保護作用の一つとして、NCXの抑制が推察された。
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