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1999 年度 実績報告書

GDNF組換えアデノウイルスを用いた運動神経変性疾患の遺伝子治療に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10670616
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

渡部 和彦  財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30240477)

研究分担者 川添 陽子  財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 主事研究員 (60281705)
小柳 清光  財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00134958)
キーワード神経栄養因子 / アデノウイルスベクター / 遺伝子治療 / 運動ニューロン / 運動神経損傷 / 成体ラット / 運動ニューロン疾患 / グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)
研究概要

成体ラット顔面神経核運動ニューロン死に対するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)組換えアデノウイルスベクターの治療効果について検討した.12週齢Fisher344雄ラットの右顔面神経を引き抜き除去したのち,傷害側の茎乳突孔にヒトGDNF組換えアデノウイルス(AxCAhGDNF),β-galactosidase(gal)組換えアデノウイルス(AxCALacZ)またはPBSを注入した.AxCALacZ投与群では,傷害側の顔面神経核運動ニューロンがβ-galで明瞭にラベルされ,組換えウイルスによって同ニューロンに外来遺伝子を導入し得ることが示された。AxCAhGDNF投与群では同ニューロンがGDNF免疫染色で強陽性となり,RT-PCRで傷害側脳幹組織にヒトGDNF mRNAの発現を認めた.顔面神経核を含む脳幹組織では常にGDNF受容体(GFRα1,Ret)mRNAが検出され,組換えウイルス接種が顔面神経核運動ニューロンでの外来性ヒトGDNFの産生を誘導し,autocrineあるいはparacrineな形で同ニューロンに対する神経栄養効果が発現されると考えられた.そこで,引き抜き損傷2-4週後,顔面神経核の運動ニューロン数を算定したところ,PBS投与群(4週後対照の28.5±3.9%),AxCALacZ投与群(32.4±4.3%)では障害側顔面神経核運動ニューロンの脱落を認めたが,AxCAhGDNF投与群(59.4±2.8%)では脱落が顕著に抑制された.また,AxCAhGDNF投与により傷害側運動ニューロンにおけるコリンアセチル転移酵素免疫反応性が改善,一酸化窒素合成酵素活性が抑制された.本研究により,成人における運動神経損傷や運動ニューロン疾患に対するGDNF組換えアデノウイルスを用いた遺伝子治療の有効性が示唆された.

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Watabe, K. et al.: "Rescue of lesioned adult rat spinal motoneurons by adenoviral gene transfer of glial cell line-derived neurotrophic factor"Journal of Neuroscience Research. (in press). (2000)

  • [文献書誌] 渡部和彦ら: "成体ラット顔面神経核運動ニューロン損傷に対するGDNF組換えアデノウイルスベクターの治療効果"厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究事業:神経変性疾患に関する研究班1999年度研究報告書. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 渡部和彦ら: "Niemann-Pick病C型モデルマウス(spm)由来培養シュワン細胞株の樹立"厚生科学研究費補助金特定疾患対策研究事業:神経変性疾患に関する研究班1999年度研究報告書. (印刷中). (2000)

  • [文献書誌] 小林博司ら: "組換えバキュロウイルスを用いた神経系初代培養細胞への遺伝子導入"日本先天代謝異常学会雑誌. 15(2). (1999)

  • [文献書誌] 渡部和彦ら: "運動ニューロン損傷モデルに対するグリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)組換えアデノウイルス・ベクターの保護効果"厚生省特定疾患神経変性疾患調査研究文科会1998年度研究報告書. 28-29 (1999)

  • [文献書誌] 坂本剛ら: "成体ラット顔面神経核運動ニューロン損傷に対するGDNF組換えアデノウイルス・ベクターの保護効果"神経化学. 38(3). 333 (1999)

  • [文献書誌] 渡部和彦: "Schwann細胞.生田房弘編,「Glia細胞」"クバプロ. 20 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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